ネットショップの棚卸しのやり方|年末の在庫の数え方・売上原価の計算・評価方法をやさしく解説

ネットショップの棚卸しのやり方

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「年末に在庫を数えるって聞いたけど、何をすればいいの?」
「売れ残った商品の分は、経費にならないの?」

ネットショップやフリマアプリで商品を仕入れて売っている人は、年末に「棚卸し(たなおろし)」をする必要があります。棚卸しとは、12月31日の時点で手元に残っている商品の数と金額を調べることです。この記事では、国税庁の「青色申告の決算の手引き(令和7年分)」などをもとに、棚卸しが必要な理由、数え方、金額の出し方、売上原価の計算までを、順番にやさしく説明します。

  • 棚卸しが必要な理由(売上原価のしくみ)
  • 棚卸しをする物
  • 棚卸しをする日
  • 在庫の数え方と棚卸表の作り方
  • 在庫の金額の出し方(評価方法)
  • 計算の例
  • よくある質問
YOSHI

YOSHI
仕入れたお金は、全部がその年の経費になるわけではありません。売れ残った分を正しく分けるのが棚卸しです。年末の大事な作業なので、いっしょに確認しましょう。

棚卸しが必要な理由:売上原価のしくみ

商品を売る副業では、売れた商品の仕入れ代を「売上原価(うりあげげんか)」として経費にします。ポイントは、その年に仕入れた金額ではなく、その年に売れた分だけが売上原価になることです。

国税庁の青色申告の決算の手引き(令和7年分)では、売上原価は次の式で計算すると書かれています(2026年10月時点)。

売上原価=年初(期首)の棚卸高+1年間の仕入高−年末(期末)の棚卸高
その年に売れた商品の原価去年から持ちこした在庫ことし仕入れた金額ことしの年末に残った在庫
国税庁「青色申告の決算の手引き(一般用)令和7年分」をもとに作成(2026年10月時点)

「棚卸高(たなおろしだか)」とは、在庫の金額のことです。年末に残った在庫は、まだ売れていないので、ことしの経費からは引きます。そのかわり、来年の「年初の棚卸高」になり、来年売れたときに経費になります。

もし棚卸しをしないで、仕入れた金額を全部ことしの経費にしてしまうと、ことしの経費が多すぎて、来年は少なすぎることになります。正しい所得(もうけ)を出すために、棚卸しが必要なのです。

棚卸しをする物

決算の手引きでは、棚卸しが必要な物として、次のようなものがあげられています(2026年10月時点)。

分類手引きにあげられている例ネットショップでの例
商品など商品、製品、半製品、仕掛品、原材料など仕入れた商品、ハンドメイドの完成品、作りかけの作品、布・ビーズなどの材料
消耗品などまだ使っていない包装材料、事務用品などの消耗品まだ使っていない段ボール、封筒、緩衝材、ラッピング資材
国税庁「青色申告の決算の手引き(一般用)令和7年分」をもとに作成(2026年10月時点)

消耗品については、手引きに「通常の年に比べて特に増えていない消耗品などについては、棚卸しを省略しても差し支えありません」と書かれています(2026年10月時点)。年末にまとめ買いして、いつもよりたくさん残っているときは、数えておきましょう。

ハンドメイド作品を作っている人は、完成品だけでなく材料や作りかけの作品も対象になることを覚えておきましょう。

棚卸しをする日

手引きでは、棚卸しは原則として12月31日にすることになっています。年末が忙しくてその日にできない場合は、前後の日にしてもかまいません。ただしその場合は、12月31日と棚卸しをした日の間の売上や仕入れから12月31日の時点の在庫を計算し、その方法をわかるようにしておく必要があります(2026年10月時点)。

たとえば、12月29日に数えて、30日と31日に2個売れたなら、「29日に数えた数から2個を引いた数」が12月31日の在庫です。どう計算したかを、メモに残しておきましょう。

在庫の数え方と棚卸表の作り方

手引きには、商品の種類・品質・型などの別に、数量を実際に調べると書かれています(2026年10月時点)。小さなお店なら、次の手順で進めるとスムーズです。

  1. 数える日を決めて、お店のお休みや発送の予定を調整する(数えている間に数が変わらないようにする)
  2. 商品を種類ごとに分けて並べる(色ちがい・サイズちがいも分ける)
  3. 1つずつ数えて、紙かスマホのメモに書く
  4. ショップの管理画面の在庫数とくらべる(ずれていたら理由を調べる)
  5. 棚卸表にまとめる(下の表のような形)
商品名数量単価(仕入れ値)金額
トートバッグ(白)8個1,200円9,600円
トートバッグ(黒)5個1,200円6,000円
ピアス用パーツ40個50円2,000円
合計17,600円
棚卸表の例(商品名・金額はすべて例)

手引きでは、数えたときに数量などを書いたメモなどの元の記録は、棚卸表といっしょに保存しておくこととされています(2026年10月時点)。書きなおして清書したあとも、最初のメモは捨てないようにしましょう。

ふだんから在庫を記録している場合

手引きには、商品の出入りを記録する帳簿などで毎日の在庫の数がわかり、決まった時期に実際に数えて正しいか確かめている場合は、年末の実地棚卸しを省略できるとも書かれています(2026年10月時点)。ふだんの在庫の記録のしかたは「ネットショップの在庫管理のきほん」で説明しています。

在庫の金額の出し方(評価方法)

数を数えたら、次は1個あたりいくらで計算するかを決めます。これを「評価方法」といいます。同じ商品でも、仕入れた時期によって値段がちがうことがあるからです。

届け出をしていない人は「最終仕入原価法」

国税庁の案内では、評価方法を税務署に届け出ていない場合は「最終仕入原価法(さいしゅうしいれげんかほう)」で評価することになっています(2026年10月時点)。手引きにのっている計算式は次のとおりです。

計算のしかた(最終仕入原価法)
年末にいちばん近い時期に仕入れた、その商品の仕入単価 × 年末の数量 = 年末の棚卸高
国税庁「青色申告の決算の手引き(一般用)令和7年分」をもとに作成(2026年10月時点)

たとえば、同じトートバッグを、春に1個1,000円、11月に1個1,200円で仕入れていて、年末に8個残っていたとします。最終仕入原価法では、年末にいちばん近い11月の1,200円を使って、1,200円×8個=9,600円が年末の棚卸高になります。

ほかの評価方法を使いたいとき

手引きでは、先入先出法・総平均法・売価還元法・低価法などの方法も、あらかじめ税務署へ届け出ていれば使えると書かれています。届け出の期限は、国税庁の手続きの案内では、事業を始めた年などの確定申告の期限までとなっています(2026年10月時点)。はじめての人は、届け出のいらない最終仕入原価法で考えるとわかりやすいでしょう。

こわれた商品や売りものにならない商品

手引きには、こわれた商品や、長く売れ残って古くなった商品(棚ざらし品)は、12月31日の時点で処分できる値段で評価することもできると書かれています(2026年10月時点)。キズや汚れで定価では売れない商品は、分けて記録しておきましょう。

計算の例:ことしの売上原価を出してみよう

ネットショップを始めて2年目の人の例で、売上原価を計算してみます(金額はすべて例です)。

項目金額どこから出す?
年初の棚卸高20,000円去年の年末に数えた在庫の金額
1年間の仕入高150,000円ことし仕入れた商品の合計
年末の棚卸高30,000円ことしの年末に数えた在庫の金額
売上原価140,000円20,000円+150,000円−30,000円
売上原価の計算例(金額はすべて例)

この例では、仕入れたのは150,000円ですが、ことしの経費になる売上原価は140,000円です。残りの30,000円分は、来年の「年初の棚卸高」として持ちこします。

帳簿のつけ方は「副業の帳簿のつけ方」、経費にできるものの考え方は「副業で経費にできるもの・できないもの一覧」で説明しています。年末の準備全体は「年末までにやっておきたい副業のお金の準備」も見てください。

よくある質問

Q1. 在庫が少しだけなら、棚卸しはしなくてもいいですか?

A. 在庫の量が少なくても、年末に残っている商品は、ことしの売上原価から引くのが決まりです。数が少ないなら、数える時間も短くてすみます。商品名・数・単価だけでもメモに残しておきましょう。

Q2. 12月31日に数えられないときは、どうすればいいですか?

A. 国税庁の決算の手引きでは、前後の日に棚卸しをして、12月31日までの売上や仕入れで数を調整してもよいとされています。そのとき、どう計算したかをわかるようにしておく必要があります(2026年10月時点)。

Q3. 会計ソフトを使っていれば、棚卸しはいりませんか?

A. 会計ソフトに年末の在庫の金額を入力すると、売上原価を計算してくれるものが多くあります。ただし、在庫の数を実際に調べて金額を出すのは自分の作業です。数えた結果を入力しましょう。会計ソフトのちがいは「会計ソフト比較」でまとめています。

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弥生
YOSHI

YOSHI
まずは、ことしの12月31日に数える予定をカレンダーに入れておきましょう。商品名・数・単価をメモするだけでも、確定申告がぐっと楽になりますよ。

まとめ

  • 棚卸しは、12月31日の時点で残っている商品の数と金額を調べる作業
  • 売上原価=年初の棚卸高+1年間の仕入高−年末の棚卸高。売れ残った分は、ことしの経費にしない
  • 商品だけでなく、材料・作りかけの作品も対象。消耗品はいつもより多く残っているときに数える
  • 数えたときのメモは、棚卸表といっしょに保存する
  • 届け出をしていない人は「最終仕入原価法」(年末にいちばん近い仕入単価×数量)で計算する(2026年10月時点)

わからないことは、税務署や税理士に相談しましょう。

料金や条件は変わることがあるので、申し込む前に必ず公式サイトで確認してください。

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