インボイス制度と副業|免税事業者のままでいい?2割特例のあとの3割特例・経過措置・登録方法

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副業で仕事を受けていると、取引先から「インボイスの登録番号はありますか?」と聞かれることがあります。「登録しないと仕事がなくなるの?」「登録したら税金が増えるの?」と不安になりますよね。

この記事でわかること

  • インボイス制度のしくみを、できるだけかんたんに
  • 副業の人が免税事業者のままでよいケース・登録を考えたほうがよいケース
  • 取引相手が「事業者」か「個人のお客様」かで変わること
  • 2割特例のあとの「3割特例」と、経過措置(80%→70%)の最新情報
  • 登録のしかた

インボイス制度ってなに?かんたんに説明

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月1日に始まった消費税のルールです。

まず「消費税の免税事業者」とは

消費税は、お客様からあずかった消費税を、事業者が国に納めるしくみです。ただし、2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下の個人は、原則として消費税を納めなくてよい「免税事業者」です(国税庁タックスアンサーNo.6501)。前年1〜6月の売上などが1,000万円を超えた場合は例外があります。

副業を始めたばかりの人のほとんどは、この免税事業者に当てはまります。

インボイスで何が変わった?

インボイス(適格請求書)とは、税務署に登録した事業者だけが発行できる、登録番号つきの請求書や領収書のことです。

取引先(仕事をくれる会社など)は、自分が納める消費税を計算するときに、支払った消費税を差し引けます(仕入税額控除)。でも、インボイスがない支払いは、原則として差し引けなくなりました。つまり、免税事業者に仕事を頼むと、取引先の消費税の負担が増えることがあるのです。

ゼロ店長

ゼロ店長
ポイントは「インボイスが必要かどうかは、相手が決める」ということです。自分の売上だけでなく、誰に売っているかを見てみましょう。

取引相手が「事業者」か「個人」かで変わること

インボイスが必要になるかどうかは、取引相手によって大きく変わります。

取引相手インボイスが必要になりやすいか副業の例
一般の個人のお客様(消費者)必要ないことが多いネットショップでハンドメイド作品を個人に売る、フリマアプリで売る
消費税の免税事業者・簡易課税の事業者必要ないことが多い小さなお店や個人事業主からの依頼
消費税を納めている会社・事業者(一般課税)求められやすい企業からのライティング・デザイン・動画編集の依頼

一般の個人のお客様は、消費税を国に納めていないので、インボイスをもらっても使い道がありません。そのため、ネットショップで個人向けに売るのが中心の人は、登録しなくても困らないことが多いです。

一方、企業から継続して仕事を受けている人は、登録を求められたり、消費税分の値下げを相談されたりすることがあります。

取引先が勝手に報酬を下げるのはNG

公正取引委員会などは、免税事業者であることを理由に、取引先が一方的に報酬を下げたり、取引をやめたりすることは、独占禁止法や下請法などで問題になるおそれがあると示しています。条件の変更は、話し合って決めるものです。フリーランスとして守られるルールはWebライティング副業の始め方でも紹介しています。

免税事業者のままでいい?登録したほうがいい?

くらべるところ免税事業者のままインボイスに登録
消費税の申告と納税いらない必要(売上が少なくても)
インボイスの発行できないできる
企業との取引登録を求められたり、値下げを相談されたりすることがある今までどおり続けやすい
事務の手間少ない請求書の書き方、消費税の申告が増える
名前などの公表なし国税庁の公表サイトに登録番号などが載る

免税事業者のままでよいことが多い人

  • ネットショップやフリマで、個人のお客様に売るのが中心
  • 取引先から登録を求められていない
  • 売上が少なく、消費税の納税が負担になる

登録を考えたほうがよい人

  • 企業から継続的に仕事を受けていて、登録を求められている
  • 取引先との関係を続けたい
  • 将来、売上が1,000万円をこえそう

登録すると、売上が1,000万円以下でも消費税の申告と納税が必要になります。登録するかどうかは、取引先と相談してから決めるのがおすすめです。

ゼロ店長

ゼロ店長
迷ったら、主な取引先に「登録していないと困りますか?」と聞いてみるのが近道です。困らないと言われたら、あわてて登録しなくても大丈夫なことが多いですよ。

登録した人の負担を軽くする「2割特例」と「3割特例」

免税事業者から登録した人の負担を軽くするため、特別なルールがあります(国税庁、2026年10月時点)。

2割特例は2026年分まで

2割特例は、納める消費税を売上にかかる消費税の2割にできるルールです。対象は、免税事業者からインボイスに登録した人などで、2年前の課税売上高が1,000万円以下の場合です。

適用できる期間は、2023年10月1日から2026年9月30日までの日をふくむ課税期間です。個人の場合は、2026年分(2027年に申告する分)まで使えます。つまり「2026年9月30日で終わり」ではなく、個人なら2026年12月までの1年分の申告に使えます。

2027年分・2028年分は「3割特例」

令和8年度(2026年度)の税制改正で、2割特例が終わったあとの「3割特例」が作られました(改正法は2026年3月31日に成立・公布)。

特例対象納める消費税の目安使える期間(個人)
2割特例免税事業者から登録した人など(個人・法人)売上にかかる消費税の2割2026年分まで
3割特例免税事業者から登録した個人事業者(法人は対象外)売上にかかる消費税の3割2027年分・2028年分

3割特例も、2年前の課税売上高が1,000万円以下であることなどが条件です。たとえば、売上にかかる消費税が10万円なら、納める額は2割特例で2万円、3割特例で3万円という計算になります(数字は計算の例です)。

また、2割特例や3割特例を使った次の年に「簡易課税(かんいかぜい)」という計算方法に移るときは、その年の申告期限までに届出書を出せばよい、という措置もできました。

ゼロ店長

ゼロ店長
2割特例は「2026年9月で終わり」と思われがちですが、個人なら2026年分の申告まで使えます。そのあとは3割特例が2年間続きますよ。

取引先側の経過措置:80%から70%へ

インボイスがない免税事業者などからの仕入れでも、取引先は一定の割合を差し引ける「経過措置」があります。こちらも令和8年度の改正で、段階が変わりました(国税庁「インボイス制度開始後の見直し」)。

期間取引先が差し引ける割合
2023年10月1日〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%
2031年10月1日以降0%(差し引けない)

もともとは2026年10月から3年間50%の予定でしたが、70%→50%→30%とゆっくり下がる形に変わりました。2026年10月1日からは70%になっています。

取引先にとっては、免税事業者に仕事を頼むと、少しずつ負担が増えていくということです。今は大丈夫でも、数年後に取引先から相談される可能性はあります。

インボイスの登録のしかた

登録するときは、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を出します(国税庁)。

  1. 申請書を用意する:e-Tax(パソコンやスマホ)で作るのがかんたんです。個人事業者はスマホからも申請できます。
  2. 登録希望日を書く:免税事業者が年の途中から登録する場合は、申請書を出した日から15日以後の日を「登録希望日」として書きます。
  3. 提出する:e-Taxで送るか、郵送の場合は、納税地を管轄する国税局の「業務センター」へ送ります。
  4. 通知を待つ:登録が終わると、登録番号(Tから始まる13けた)が通知されます。e-Taxで申請すると、通知もe-Taxで受け取れます。

免税事業者が2029年9月30日の日をふくむ課税期間までに登録する場合は、「課税事業者選択届出書」を出さなくても登録できる経過措置があります。

登録すると公表されること

登録すると、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録番号などが公表されます。個人の場合は、氏名・登録番号・登録年月日が載ります。屋号や事務所の所在地は、希望して申し出た場合だけ追加で公表されます。副業を本名で公表されることに抵抗がある人は、事前によく考えましょう。

やめたくなったら

登録をやめるには「登録取消届出書」を出します。登録をやめたい課税期間(個人なら年)の初日から数えて15日前の日までに出す必要があります。期限を過ぎると、やめられるのはさらに1年後になります。かんたんに出たり入ったりできるものではないので、慎重に決めましょう。

まとめ

  • 免税事業者は、2年前の課税売上高が1,000万円以下の人。副業の多くは当てはまる
  • 個人のお客様に売るのが中心なら、登録しなくても困らないことが多い
  • 企業との取引が中心なら、取引先と相談して決める
  • 2割特例は個人なら2026年分まで。2027年分・2028年分は3割特例(個人のみ)
  • 取引先の経過措置は2026年10月1日から70%。2031年10月以降は0%
  • 登録はe-Taxがかんたん。登録すると公表サイトに載る

お金や手間の話も大切ですが、確定申告の全体の流れは副業の確定申告ガイド、帳簿については青色申告と白色申告のちがいもあわせて読んでみてください。

インボイスに登録するかどうかは、取引先や売上の状況によって答えが変わります。くわしくは税務署や税理士に相談しましょう。

料金や条件は変わることがあるので、申し込む前に必ず公式サイトで確認してください。

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