主婦・主夫のネット販売の始め方|扶養と「年収の壁」・すき間時間・身バレ対策をやさしく解説

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「家のことをしながら、ネットで少しずつ物を売ってみたい」。そう思っても、すぐに気になるのが扶養のことではないでしょうか。「いくらまでなら扶養のままでいられるの?」「パートの壁と同じなの?」と迷う人はとても多いです。

この記事では、主婦・主夫の立場でネット販売を始めるときに知っておきたいことを、次の順番でやさしく説明します。

  • 税金の扶養と社会保険の扶養は「別のもの」だということ
  • 2026年分からの税金のルールの変更点
  • ネット販売は「給与」ではなく「所得」で考えること
  • 家事・育児のすき間時間での進め方と、家族への相談
  • 住所や名前を知られないための身バレ対策

ほかの立場(会社員、学生、シニアなど)の始め方は、タイプ別ガイドの案内ページからどうぞ。

「扶養」には2種類ある|税金の扶養と社会保険の扶養

まず、いちばん大事なポイントです。ふだん「扶養」とひとことで言いますが、じつは2つの別々のしくみがあります。

  1. 税金の扶養:家計を支えている配偶者(夫や妻)の所得税・住民税が安くなるしくみ。「配偶者控除」「配偶者特別控除」と呼ばれます。
  2. 社会保険の扶養:配偶者の会社の健康保険に、保険料を払わずに入れるしくみ。年金も「第3号被保険者」として保険料を自分で払わずにすみます(会社員・公務員の配偶者の場合)。

この2つは、判定の基準も、数字も、数え方もちがいます。片方の範囲内でも、もう片方からは外れる、ということが起こります。ここを分けて考えるだけで、ぐっとわかりやすくなります。

税金の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)

税金の扶養は、あなたの1年間(1月〜12月)の「合計所得金額」で決まります。所得とは、かんたんに言うと「もうけ」のことです。

2026年分(2026年1月〜12月の所得)からは、税制改正で基準が少し上がりました(2026年10月時点)。

あなたの合計所得金額2025年分まで2026年分から
配偶者控除の対象58万円以下62万円以下
配偶者特別控除の対象58万円超〜133万円以下62万円超〜133万円以下

配偶者特別控除は、所得が増えるほど控除される金額が少しずつ減っていくしくみです。いきなりゼロになる「崖」ではなく、ゆるやかな「坂」だと思ってください。また、家計を支えている側の合計所得金額が1,000万円を超えると、どちらの控除も受けられません(2026年10月時点)。

あわせて、2026年分からは基礎控除(だれでも受けられる控除)も大きくなりました。合計所得金額が489万円以下の人は、基礎控除が104万円になります(2026年10月時点、2026年分・2027年分の特例をふくむ金額)。これはあなた自身の所得税が「いくらからかかるか」に関係します。

なお、住民税は所得税とは別のルールで計算され、基準や変更の時期がずれることがあります。住民税については、お住まいの市区町村のホームページで確認しておくと安心です。

社会保険の扶養(130万円)

社会保険の扶養は、原則としてこれから先1年間に見込まれる収入が130万円未満であること、などが条件です(2026年10月時点。60歳以上などは基準が別)。さらに、同じ世帯なら「配偶者の年収の半分未満」という条件もあります。

ポイントは、税金のように「1月〜12月の結果」で見るのではなく、「この先の見込み」で判断されることです。売上がのびて見込みが基準をこえると、年の途中でも扶養から外れる手続きが必要になることがあります。

扶養から外れると、自分で国民健康保険と国民年金に入り、保険料を払うことになります。ここが、いわゆる「130万円の壁」と呼ばれる理由です。

ゼロ店長

ゼロ店長
税金は「1年間のもうけ」、社会保険は「これからの見込み」。この2つを分けて考えるのがコツですよ。

ネット販売は「給与」ではなく「所得」で考える

パートの「103万円の壁」や「160万円の壁」という話は、よく耳にしますよね。でも、これらはパートやアルバイトの給与(お給料)の場合の目安です。給与には「給与所得控除」という差し引きがあるので、収入の金額で話ができるのです。

ネット販売のもうけは、ふつうは「事業所得」か「雑所得」になります。こちらには給与所得控除がありません。そのかわり、次のように計算します。

所得 = 売上 − 経費(仕入れ代・送料・手数料など)

つまり、「売上がいくらか」ではなく「経費を引いたもうけがいくらか」で、税金の扶養が決まります。例えば売上が100万円でも、仕入れや送料などの経費が50万円なら、所得は50万円です。

さらに、開業届と青色申告の届け出をして青色申告をすると、「青色申告特別控除」を差し引いた後の金額が所得になります。くわしくは開業届の出し方ガイドで説明しています。

社会保険の「130万円」は数え方に注意

社会保険の扶養で使う「収入」の数え方は、税金とは同じではありません。ネット販売のような自営の収入について、売上から経費をどこまで差し引いて考えるかは、加入している健康保険(健康保険組合や協会けんぽなど)によって扱いがちがうことがあります。確定申告書の写しを出すように言われることもあります。

また、2026年4月からは、パートなどの給与だけの人について、労働契約の内容(時給や勤務時間)で年収を見込む取り扱いが始まりました。ただし日本年金機構の案内では、この取り扱いは「他の収入が見込まれない」ことが条件です。ネット販売の収入もある場合は、この新しい取り扱いは使えません(2026年10月時点)。パートとネット販売を両方している人は、とくに注意しましょう。

いちばん確実なのは、配偶者の勤め先の担当部署や、加入している健康保険に「自営の収入はどう数えますか」と聞くことです。

会社の「家族手当」も確認を

見落としやすいのが、配偶者の会社の家族手当(配偶者手当)です。これは国のルールではなく、会社ごとの決まりです。「税金の扶養に入っていること」「収入が◯円以下」など、会社によって条件がちがいます。税金や社会保険の扶養の範囲内でも、手当だけ止まることがあるので、就業規則などで確認してもらいましょう。

扶養の中で続ける?外れて伸ばす?考え方の目安

「扶養の中でやるべきか」は、家庭ごとに答えがちがいます。決めつけずに、次の3つの段階で考えてみてください。

段階目安考えること
お試し期税金の扶養(配偶者控除)の範囲内売れるかどうか試す。経費の記録を必ず残す
のびてきた時期配偶者特別控除の範囲控除は少しずつ減る。社会保険の130万円の見込みに注意
本格化社会保険の扶養を外れる保険料を自分で払っても、手元に残るお金が増えるか計算する

社会保険の扶養を外れると、保険料の負担が増えるので、手元に残るお金が一時的に減ることがあります。いっぽうで、自分の名前で国民年金に入っていることには変わりありません。どちらがよいかは、家計全体で「手取りがどう変わるか」を計算してから決めましょう。

計算のために欠かせないのが、毎月の売上と経費の記録です。レシートをためておくだけでなく、月に1回まとめる習慣をつけると、「今年はどのくらいになりそうか」が早めにわかります。会計ソフトについては会計ソフト比較を参考にしてください。

家事・育児のすき間時間で進めるコツ

家のことをしている人の時間は、まとまって取れないことが多いですよね。子どもの急な発熱など、予定どおりにいかない日もあります。だからこそ、「細切れの時間でできる作業」と「まとまった時間が必要な作業」を分けておくのがおすすめです。

時間の長さ向いている作業の例
5〜10分お客さんへの返信、注文の確認、SNSの投稿、商品アイデアのメモ
30分前後商品説明文を書く、梱包、発送の準備
1時間以上商品の写真撮影、新しい商品の制作や仕入れ
  • 発送日を決める:「発送は火曜と金曜」のように決めて、商品ページに書いておくと、毎日バタバタしません。
  • 発送までの日数に余裕を持たせる:子どもの行事や体調不良があっても間に合うように、少し長めに設定しておきましょう。
  • 受注を止める方法を知っておく:帰省や長期休みの前は、ショップをお休み設定にできるか確認しておくと安心です。
  • 作業場所を決める:材料や梱包資材の置き場所を決めておくと、小さな子どもの手の届かない所に保管できます。

発送方法を選ぶときは、ポスト投函できるものだと、子ども連れで郵便局に並ばずにすみます。くわしくは安い発送方法の比較をどうぞ。

ゼロ店長

ゼロ店長
最初から毎日がんばらなくて大丈夫。「週に2回発送」くらいの、続けられるペースから始めましょう!

始める前に家族と話しておきたい5つのこと

主婦・主夫のネット販売は、家族の協力があるとぐっと続けやすくなります。また、扶養のことは配偶者の税金や会社の手続きにも関係します。次の5つは、始める前に話しておくと安心です。

  1. 扶養をどうするか:「まずは配偶者控除の範囲で」など、目安を家族で決めておく。
  2. 配偶者の会社への申告:年末調整で配偶者の所得の見込みを書く欄があります。だいたいの金額を伝えておきましょう。
  3. 最初にかけるお金:材料費や仕入れ代の上限を決める。「例えば最初は3万円まで」のように、なくなっても困らない金額にする。
  4. 家の中のスペース:在庫や梱包資材をどこに置くか。
  5. 家族の写りこみ・名前:SNSや商品写真に、子どもや家の中が写らないようにするルール。

とくに2つ目は大事です。配偶者控除・配偶者特別控除は、配偶者の会社の年末調整で手続きすることが多いからです。見込みと実際の所得が大きくずれると、あとで配偶者の税金の修正が必要になることがあります。

身バレ・住所バレを防ぐ方法

自宅で販売する主婦・主夫にとって、「住所や名前を知られたくない」という気持ちは自然なことです。子どもの学校やご近所の人に知られたくない、という人もいるでしょう。主な対策は次の3つです。

1.ショップの「特定商取引法の表記」を非公開にする

ネットショップには、法律(特定商取引法)で、販売者の名前や住所などを表示するページが必要です。ただ、ショップ作成サービスの中には、個人の場合に住所や電話番号をサービス会社の情報に置きかえて表示できる機能があります。

  • BASE:個人のショップオーナーは、所在地と電話番号を非公開にでき、かわりにBASEの所在地などが表示されます。
  • STORES:個人・個人事業主は、所在地と電話番号を非表示にでき、かわりに運営会社の情報が表示されます。

どちらも、登録時には正しい住所を入れる必要があり、トラブル時などには運営会社を通じて情報が開示されることがあります(2026年10月時点の公開情報より。最新の条件は各サービスのヘルプで確認してください)。

2.匿名配送を使う

ページで住所を隠しても、荷物の差出人欄に自宅住所を書けば、お客さんには伝わってしまいます。そこで使いたいのが匿名配送です。

  • BASE:ヤマト運輸と連携した「かんたん発送」で、名前・住所・電話番号を出さずに送れる匿名配送が使えます(少額の費用がかかります)。
  • Creema:2025年9月から「Creemaあんしん匿名便」が始まり、出品者と購入者がおたがいの住所・氏名を知らせずに送れます。
  • minne:配送サービス「かんたんミンネ便」に匿名配送のオプションがあります。

(いずれも2026年10月時点。対応サイズや料金は各サービスで確認してください)

3.屋号(お店の名前)とSNSを分ける

  • 本名ではなく、屋号(ショップ名)で活動する。
  • SNSは、家族や友だちとつながっている個人アカウントとは別のアカウントを作る。
  • 写真に、窓の外の景色・子どもの持ち物・学校名などが写らないよう確認する。
  • 「今日は◯◯小の運動会」など、場所や予定がわかる投稿はしない。
ゼロ店長

ゼロ店長
ショップのページで住所を隠しても、送り状に自宅住所を書いたら意味がありません。「ページ」と「発送」の両方で対策しましょう。

準備ができたら、小さく始めよう

扶養と身バレ対策の考え方がわかったら、あとは小さく始めるだけです。ショップの作り方や売る物の決め方などの基本は、ほかの記事でまとめています。

まとめ

  • 「扶養」には税金の扶養と社会保険の扶養の2つがあり、基準も数え方もちがう。
  • 2026年分から、配偶者控除の対象は合計所得金額62万円以下、配偶者特別控除は62万円超〜133万円以下(2026年10月時点)。
  • ネット販売は「売上」ではなく「売上−経費=所得」で考える。パートの「◯万円の壁」はそのまま当てはまらない。
  • 社会保険の130万円は「これからの見込み」で判断。自営の収入の数え方は、加入している健康保険に確認する。
  • すき間時間に合わせて作業を分け、発送日を決めて無理なく続ける。
  • 住所の非公開機能と匿名配送、屋号と別アカウントで身バレを防ぐ。

扶養の判断は、家庭の状況や加入している健康保険によって変わります。くわしくは税務署や税理士、配偶者の勤め先や加入している健康保険に相談しましょう。

料金や条件は変わることがあるので、申し込む前に必ず公式サイトで確認してください。

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