60代からのネット販売ガイド|年金への影響・確定申告・詐欺対策をやさしく解説

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「年金をもらいながら、ネットで少し物を売ってみたい。でも、年金が減ったりしないかな?」

「確定申告って、年金をもらっている人もしないといけないの?」

60代からネット販売を考える人にとって、いちばん気になるのは年金との関係ではないでしょうか。ここをきちんと知らないまま始めると、「知らなかった」では済まないこともあります。

この記事では、60代からネット販売を始める人に向けて、次のことをやさしく説明します。

  • ネット販売のもうけで年金は減るのか(在職老齢年金のしくみ)
  • 年金をもらう人の確定申告と、住民税の申告
  • 「簡単に稼げる」副業の勧誘や詐欺から身を守る方法
  • 家族と一緒に始める方法と、スマホを使いやすくする工夫
  • 長く続けるためのコツ
ゼロ店長

ゼロ店長
年金と税金の話は少しむずかしく感じるかもしれません。でも、大事なところは3つだけです。順番に見ていきましょう!

ネット販売のもうけで、年金は減るの?

「働くと年金が減る」という話を聞いたことがある人もいると思います。これは在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)という制度のことです。

在職老齢年金とは

在職老齢年金は、会社などで厚生年金に入って働きながら、老齢厚生年金を受け取る人が対象の制度です。お給料と年金の合計が一定の金額(基準額)をこえると、こえた分の半分だけ、老齢厚生年金が止められます。

この基準額は、2026年4月から月51万円から月65万円に引き上げられました(2026年10月時点、日本年金機構の案内による)。

項目内容(2026年10月時点)
対象になる人厚生年金に入って働きながら、老齢厚生年金を受け取る人(70歳以上でも、厚生年金のある会社で働く人は対象)
計算に入る収入会社からのお給料とボーナス(総報酬月額相当額)
基準額月65万円(2026年3月までは月51万円)
減る年金老齢厚生年金だけ。老齢基礎年金は減らない
減り方お給料と年金の合計が65万円をこえた分の半分

ネット販売のもうけは、計算に入るの?

ここがいちばん大事なポイントです。在職老齢年金の計算に入るのは、厚生年金に入って働く会社からのお給料とボーナスです。

厚生労働省の年金部会の資料でも、支給停止の対象は厚生年金に入って働く人などの賃金であり、自営業などで得た収入は対象にならないと整理されています。つまり、自分でネットショップを運営して得たもうけ(事業所得や雑所得)は、在職老齢年金で年金が減る計算には入りません。

働き方在職老齢年金の計算に入るか
厚生年金に入って会社で働くお給料・ボーナス入る
自分で運営するネット販売のもうけ入らない
フリマアプリで自分の物を売ったお金入らない

ただし、会社で厚生年金に入って働きながら、ネット販売もしている人は、会社のお給料の分は計算に入ります。また、ネット販売のもうけが増えると、税金や国民健康保険料などに影響することはあります。「年金が減らない=何も気にしなくてよい」ではない点に注意してください。

ゼロ店長

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自分の場合はどうなるか不安なときは、年金事務所や「ねんきんダイヤル」で確認するのが確実です。年金の種類や働き方によって変わるので、思いこみで判断しないようにしましょう。

年金をもらう人の確定申告と住民税の申告

次に気になるのが税金です。年金をもらっている人には、確定申告不要制度というしくみがあります。

確定申告がいらない条件

国税庁の案内によると、次の2つの両方に当てはまる人は、所得税の確定申告をしなくてよいことになっています(2026年10月時点)。

  1. 公的年金等の収入金額(2か所以上から受け取る場合は合計)が400万円以下で、その全部が源泉徴収(あらかじめ税金が差し引かれること)の対象になっている
  2. 公的年金等以外の所得金額が20万円以下

ここで言う「所得」は、売上そのものではなく、売上から仕入れや送料などの経費を引いた残り(もうけ)のことです。例えば、1年間の売上が30万円でも、経費が15万円なら、所得は15万円になります。

確定申告がいらなくても、住民税の申告がいることがある

注意したいのは、所得税の確定申告がいらない場合でも、住民税の申告が必要になることがあるという点です。ネット販売のもうけが少しでもある場合は、お住まいの市区町村の役所に「住民税の申告が必要か」を確認しましょう。

確定申告をしたほうがよい場合も

差し引かれすぎた税金を返してもらう(還付を受ける)には、確定申告が必要です。医療費がたくさんかかった年などは、申告したほうが得になることもあります。

あなたの状況(例)確定申告住民税の申告
年金400万円以下・ネット販売の所得20万円以下いらない(還付を受けたいときは必要)必要なことがある(市区町村に確認)
年金400万円以下・ネット販売の所得20万円超原則として必要確定申告をすれば、原則として別の申告はいらない
年金400万円超原則として必要確定申告をすれば、原則として別の申告はいらない

もうけの記録のつけ方や、確定申告の流れは副業の確定申告ガイドで説明しています。くわしくは税務署や税理士に相談しましょう。

「簡単に稼げる」副業の勧誘や詐欺に注意

ネット販売を始めようと調べていると、「スマホだけで月◯万円」「年金の不安がなくなる」といった広告を目にすることがあります。こうした「もうけ話」には、十分に気をつけてください。

国民生活センターの発表では、2025年度に契約した人が65歳以上だった消費生活相談は330,497件で、全体の37.7%をしめていました。パソコンに警告が出て、あわてて電話したら遠隔操作された「サポート詐欺」の相談も多く見られるとされています。

よくある手口

国民生活センターは、副業の勧誘について次のような手口に注意をよびかけています。

  • 「簡単に稼げる」というノウハウ(情報商材)を買わせ、そのあと、より高い「サポート契約」をすすめる
  • 「お金がない」と断ると、借金をしてでも払うようにすすめる
  • 遠隔操作アプリ(スマホやパソコンを外から操作できるアプリ)を入れさせ、言われるままに操作させる

身を守るための5つのルール

  1. 「簡単に」「だれでも」「必ず」稼げる話は、まず疑う
  2. 稼ぐ前に、まとまったお金を払う話には乗らない
  3. 借金をしてまで契約しない
  4. 知らない人に言われて、遠隔操作アプリを入れない
  5. 少しでも「おかしい」と思ったら、家族や消費者ホットライン「188(いやや)」に相談する
ゼロ店長

ゼロ店長
ネットショップを作るのに、高いお金を先に払う必要はありません。無料で始められるサービスもあります。「先にお金を払えば稼げる」という話が来たら、いったん立ち止まってくださいね。

無料で始められるサービスについては、ネットショップ作成サービスの比較で紹介しています。

家族と一緒に始めるという方法

60代からネット販売を始めるなら、家族と役割を分けて一緒に始めるのもよい方法です。一人でぜんぶ抱えこまずにすみますし、詐欺やトラブルにも気づいてもらいやすくなります。

役割分担の例

やること本人家族(例えば子どもや孫)
売る物を選ぶ・作る◎ 得意なところ意見を出す
商品の説明を考える◎ 経験や知識を話す文章にまとめるのを手伝う
ショップの最初の設定一緒に画面を見る◎ 設定を手伝う
梱包・発送◎ ていねいに包む重い物を運ぶのを手伝う
お金の記録一緒に確認する表計算などで整理を手伝う

ポイントは、パスワードやお金の管理は本人もわかるようにしておくことです。全部を家族にまかせると、本人が中身を知らないまま進んでしまいます。だれの名前でお店を作り、もうけはだれのものになるのかも、最初に話し合っておきましょう。税金を申告する人も、それによって変わります。

離れて暮らす家族とも協力できる

家族が遠くに住んでいても、ビデオ通話で画面を見せながら教えてもらうことができます。「毎週日曜の夜に10分だけ」など、時間を決めておくと続けやすくなります。

スマホを使いやすくする工夫

ネット販売のほとんどの作業は、スマホでできます。少し設定を変えるだけで、ぐっと使いやすくなります。

文字を大きくする

スマホの「設定」から、画面の文字の大きさを変えられます。iPhoneでもAndroidでも変更できるので、読みやすい大きさにしておきましょう。表示ぜんたいを大きくする設定がある機種もあります。

音声入力を使う

商品の説明を、小さなキーボードで打つのは大変です。スマホのマイクのボタンを押して話すと、声が文字になります。打ち間違いは、あとで直せば大丈夫です。

よく使うアプリをホーム画面の1ページ目にまとめる

ショップのアプリ、カメラ、メモなど、ネット販売で使うアプリを1か所に集めておくと、どこにあるか探さずにすみます。

パスワードは紙に書いて、安全な場所に

ログインのためのパスワードを忘れてしまう人は多いです。紙のノートに書いて、家の決まった場所に保管しておきましょう。ただし、そのノートを人に見せたり、電話で人に教えたりしてはいけません。

スマホでの商品写真のとり方は、スマホでできる商品写真の撮り方にまとめています。

長く続けるための3つのコツ

1. 「楽しい」と思える物を売る

60代からのネット販売は、たくさん稼ぐことよりも、長く楽しく続けることを目標にするのがおすすめです。趣味で作っている物や、長年くわしい分野の物なら、商品のことを考える時間そのものが楽しくなります。手作りの品を売るなら、ハンドメイド作品の売り方も参考になります。

2. 体に無理のないペースを決める

重い荷物を運ぶ、長時間スマホを見続ける、といった作業は体の負担になります。例えば「出品は週に2〜3個まで」「発送は午前中だけ」など、自分なりのルールを決めておきましょう。

3. 「もうけ」と「年金・税金」をセットで考える

もうけが増えてきたら、ここまでに説明した確定申告や住民税の申告の条件を、もう一度見直しましょう。1年に1回、年末に「今年のもうけはいくらか」を確認するだけでも、あわてずにすみます。

ゼロ店長

ゼロ店長
60代から始める人の強みは、長い人生で身につけた「見る目」と「ていねいさ」です。あせらず、自分のペースで進めましょう!

ほかの立場の人向けのガイドは、タイプ別ガイドの案内ページからまとめて見られます。

まとめ

  • 在職老齢年金で年金が減る計算に入るのは、厚生年金に入って働く会社のお給料・ボーナス。自分で運営するネット販売のもうけは入らない
  • 在職老齢年金の基準額は、2026年4月から月65万円に引き上げられた
  • 公的年金等の収入が400万円以下(全部が源泉徴収の対象)で、ほかの所得が20万円以下なら、所得税の確定申告はいらない。ただし住民税の申告が必要なことがある
  • 「簡単に稼げる」「先にお金を払えば稼げる」話は疑い、困ったら188に相談
  • 家族と役割を分けると、続けやすく、トラブルにも気づきやすい
  • 文字を大きくする・音声入力を使うなど、スマホの設定で作業は楽になる

年金や税金のことは、人によって条件がちがいます。不安なときは、年金事務所や税務署、市区町村の窓口で、自分の場合を確認してから始めると安心です。

料金や条件は変わることがあるので、申し込む前に必ず公式サイトで確認してください。

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